医療法人平治会 ASKAレディースクリニック

染色体異常、先天異常
ARTが受精卵(出生児)に与えうる影響には、「体外操作」や「顕微操作」による人為的な影響と、ARTを受ける患者さんの背景による影響とが考えられます。
報告ではARTによる妊娠では自然妊娠に比べて流産率は高いとされますが(前述)、流産児や出生児の染色体異常および先天異常の発生率は、自然妊娠と差が見られません。
つまり卵子を取り出し培養する「体外操作」は、受精卵の染色体異常を増やさないと考えられます。また染色体に異常がない夫婦の場合では、体外受精と顕微授精による受精卵の染色体異常の発生率に差がないとの報告より、「顕微操作」 も受精卵の染色体に影響をおよぼさないと考えられます。

一方、患者さんの背景による影響には女性側と男性側の要因があります。
女性側要因としては年齢が重要であり、加齢により卵子の染色体異常が増加し、それに伴い流産と染色体異常児の出産率は増加します(例:ダウン症)。

参考)Down症出産率
20歳
25歳
30歳
35歳
40歳
45歳
1/1177
1/1042
1/704
1/299
1/87
1/22

男性側要因としては不妊男性の5.6%に染色体異常が認められ、これは一般男性の0.6%に比して高い頻度です。従来は妊娠をあきらめていた無精子症〜高度乏精子症の場合でも、顕微授精の技術によって妊娠が望めるようになりましたが、男性の性機能に関する遺伝子はY染色体上に存在するため、出生児が男児であった場合、父親から男性不妊を受け継ぐ可能性があります。
しかし現時点では次世代、次々世代などへの影響についての、はっきりとした結論は出されておらず、今後の集計を待つことになります。

◇重症男性不妊の染色体異常検査
当院では重症男性不妊の場合、事前に男性側の染色体検査を実施しております。

染色体分染法(保険適応)
染色体は22組44本の常染色体と1組2本の性染色体から構成されますが、男性不妊では精子に関する遺伝子のあるY染色体の構造や数に異常がないかを調べます。
Y染色体の代表的な異常は、47XXY(クラインフェルター症候群)です。
検査料金:約8,000円

Y染色体微小欠失(保険外)
Y染色体上には精子形成に関わる遺伝子が存在し、無精子症で15〜20%、高度乏精子症で7〜10%の割合で、これが部分的に欠けているとの報告があります。
検査料金:31,500円(税込み)

参考)出生時の形態異常発生率
本邦
国外
体外受精
0.8%(H5〜7年)
2〜3%(自然妊娠と同じ)
顕微授精
0.07%(H6〜7年)
2.6〜3.3%

参考)5歳時の先天異常発生率(日本受精着床学会2006年報告)
本邦ARTによる出生児
神奈川県 一般出生児
体外受精
3.1%
2.5〜3.72%
顕微授精
3.72%
注意)一般に先天異常の発生率は生後一年の時点では生下時に比べて2〜3倍増加します。


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