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妊娠初期の注意事項

妊娠初期の出血、腹痛について

妊娠が成立し子宮内に胎嚢が形成されると、その発育に伴い出血が見られることがあります。出血イコール流産のサインと考えがちですが、実際には正常な経過でも半数以上の人が経験する症状です。
出血には、ティシュに茶色〜ピンク色の帯下が付く程度から、下着が赤く染まる、さらには血の塊が排泄されるなど程度は様々です。血液量と流産に進行する可能性には関係はありませんが、塊が繰り返し出るような場合には、流産に進行している結果として出血している可能性があります。
診察で出血が確認された時点で、医師からは「切迫流産」との診断を下されますが、実際に流産に進行するのは一部であり、順調と言われている場合には、過剰に心配する必要はありません。
治療法として安静を指示されますが、これにどれほどの効果があるかは、不明です。また止血剤や子宮収縮抑制剤の効果も疑問ですので、当院では一切、処方しておりません。

出血時の安静度

臥床 一日中、寝床に横になる必要はありません
家事 問題なし
入浴 問題なし
仕事 事務職、軽作業は問題なし
運動 避けましょう
性交 避けましょう
旅行 すすめません

仕事を病欠される方には、診断書を書くことができます。

また妊娠初期には、断続的な生理痛様の痛みが見られます。これは主に黄体ホルモンの作用により子宮が伸展する痛みです。この腹痛は、うずくまるほどではありませんが、数分〜1時間ほど続きます。痛みが強い時でも鎮痛剤の服用はできませんので、横になるなどして経過を見て下さい。
なお子宮内に胎嚢が確認されていない場合には、子宮外妊娠の可能性もあります。

 

妊娠初期の食生活

□ 妊娠中の心がけ

「妊娠したらバランスの良い食生活を」という言葉をよく耳にしますが、妊娠したからと言って食習慣は、すぐには変えられるものではありません。また妊娠すると代謝効率が変わり、体重が増加しやすくなります。最終的には、10キロ前後増えることも珍しくありません。体重増加は、妊娠性高血圧症や難産の原因となります。昔の人は、妊娠中にたくさん食べることをすすめますが、むしろ体重コントロールで苦労することが多いのが実情です。妊娠中の体重管理については、産科医や助産師により指導されると思いますので、妊娠初期に関しては、食べ過ぎに注意してください。

一方、つわりの時には、バランスの良い食生活など不可能です。水分と葉酸、ビタミンB群のサプリを摂りましょう。また果物、お菓子、ジュースなど食べられるものがあれば、何でも摂って下さい。
水分の摂取さえ困難な場合には、点滴が必要です。輸液により水分と糖質、ビタミンを補給できますので、医師や看護師にご相談ください。

 

□ 葉酸摂取のすすめ

葉酸は、野菜や果物に含まれ細胞増殖に必要なビタミンB群の栄養素です。妊娠初期に葉酸が不足すると神経管欠損症(二分脊椎、無脳児、脳瘤)の原因となります。妊娠は、不妊治療を除き計画性のあるものではありませんので、胎児の神経系が形成される時期に葉酸摂取が不十分になることの無いように諸外国では妊娠前から十分量を摂取するように勧告されています。

摂取量と期間:妊娠の1ヶ月前から妊娠3ヶ月まで食事に加え1日0.4mg(400μg)をサプリにて摂取

 

□ 妊娠中の摂取を避ける食材

胎児の発育に良い食事を考えることも大事ですが、妊娠中に避けた方が良い食材もありますので知っておいてください。

 ◇ 魚介類に含まれる毒物
 
メチル水銀
 

食物連鎖の上位に位置する魚には、水俣病の原因となったメチル水銀が多く含まれていることが知られています。これらの胎児脳神経への悪影響を勘案して、平成15年に厚労省より注意喚起がなされています。
厚労省HP「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて」

 妊婦の摂取量の上限(抜粋) ※刺身一切れ15g

1回80gとして2ヶ月に1回まで バンドウイルカ
1回80gとして週1回まで 金目鯛、メカジキ、黒マグロ、マッコウ鯨
1回80gとして週2回まで マカジキ、南マグロetc
ヨード(1日必要量0.05〜0.15mg)
 

海草類に含まれるヨードを過剰摂取すると、胎児の甲状腺機能が障害を受ける可能性があります(新生児一過性クレチン症)。ヨードは、昆布だしやインスタント食品さらには、うがい薬や卵管造影検査の造影剤にも含まれています。

日本は世界一のヨード摂取国で、1日に5〜8mgも摂取していると言われます。

・海草類(昆布 ひじき わかめ のり 寒天) #昆布5グラムでヨード8mg
・調味料(昆布だし 和風ドレッシング)
・インスタント食品(カップ麺)外食麺類 ヨード卵
・市販薬(ベンザブロックS エスタックイブエース イソジンうがい薬 喉スプレー)
・ヨード系造影剤(卵管造影検査)

ヒ素
 

英国食品規格局は、2004年に無機ヒ素には発ガン性があるとして、摂取しないよう勧告しています。さらにヒ素には動物実験で催奇形性と脳障害があることが報告されています。ヒ素を含む代表的な食材は、ヒジキです。

 ◇ カフェイン
 

大量の摂取で流産との関連性の指摘も「1日に200mg以上の摂取で、流産のリスクが2倍に上昇」

 カフェイン量 ※コーヒーは1日2杯までに

コーヒー(200ml) 80mg
玉露(200ml) 160mg
煎茶(200ml) 40mg
コーラ(340ml) 33mg
 ◇ 喫煙
 

流早産、胎児発育異常、出生後の発達障害など悪影響は、異論のないところです。

 ◇ アルコール
 

胎児アルコール症候群(発育障害、精神発達遅延、特異的な顔貌)を引き起こします。安全域はありません。アルコールを使用したマルチビタミンのサプリや、リキュールを用いたデザートなどもご注意ください。

 ◇ ビタミンAの過剰摂取
 

ビタミンA(摂取量450〜2000IU)の過剰摂取(5000IU以上)は、催奇形性があるとの報告があります。なお前駆体であるβカロチンには、そう言った報告はありません。

 ◇ その他
 

女性ホルモン作用のある食品

 ローヤルゼリー マカ イソフラボン(過剰の豆製品) ハーブ類

内分泌攪乱物質が溶出する可能性のある食器

 ビスフェノールA(カップ麺、缶詰、レトルト食品、ラップ)

 ◇ 薬剤の服用
 

妊娠中や授乳中の服薬については、添付文書には「妊娠または妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること」「妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない」という記載が決められています。しかし合併症のために服薬が必要な方もいますので、妊娠中の服薬については、担当医とよく相談してください。

催奇形性・胎児毒性が報告されている薬剤

 抗てんかん薬(デパケン、テグレトール、アレビアチン、フェノバール)
 抗うつ薬(パキシル)
 アミノグリコシド系抗生剤(カナマイシン、ストレプトマイシン)
 テトラサイクリン系抗生剤(ミノマイシン)
 降圧剤ACE阻害剤(レニベース、カプトプリル)
 抗ガン剤(エンドキサン、メトトレキセート)
 リウマチ治療薬(リウマトレックス、シオゾール)
 非ステロイド系消炎鎮痛剤(インダシン、ボルタレン)
 抗血栓薬(ワーファリン)
 ビタミンAおよび誘導体(チガソン、チョコラA)

市販されている風邪薬、便秘薬、胃薬などを数回服用した程度であれば、実際に問題となることはないと思われます。湿布薬や鎮痛剤の使用は、避けて下さい。

妊娠中の服薬については、公的な相談窓口があります。

 妊娠と薬相談センター
 窓口 奈良県立医科大学産婦人科
    大阪府立母子保健総合医療センター
    国立成育医療センター産科

 

妊娠中のその他の注意

□ 妊娠初期に注意する感染症

 ① 風疹
 

妊婦が妊娠12週までに風疹にかかると、胎児に先天性風疹症候群(難聴、心臓病、白内障、精神発達遅延)が出現することがあります。
妊娠に先立って風疹抗体検査(2,500円)を受けることをおすすめします。
抗体が陰性の場合には、ワクチンの接種が望ましいと考えます。
ワクチン接種後は、2ヶ月の避妊が必要です。
なお過去に風疹にかかっていても症状の出ない人が15〜30%います。

 ② 伝染性紅斑(リンゴ病)
 

妊婦がリンゴ病にかかると、胎児貧血、胎児水腫などにより流産、死産などが起こる可能性があります。幼稚園などで流行っている時期に子供と接触のある方はご注意ください。なおリンゴ病には、ワクチンはありません。

 ③ 妊娠中のワクチン摂取について
 

妊娠中のワクチン接種については、医師にご相談ください。

 生ワクチン:妊娠中は禁忌(麻疹ワクチン、風疹ワクチン、水痘ワクチン、おたふくワクチン)
 不活化ワクチン:有用性投与(インフルエンザワクチン)

 

□ 電磁波

高圧送電線や変圧器から出る「超低周波」の発ガン性については、WHOや国際ガン研究所が注意喚起しています。疫学調査では、2〜3ミリガウスの低周波に日常的に暴露されると、小児白血病発症のリスクが2倍程度高まるとされます。こうした超低周波は、ほとんどの生活家電から発生しています。
また携帯電話からの「高周波」についても、脳腫瘍との関連性が指摘されています。
超低周波(0〜100Hz)
極超短波(300MHz〜3GHz)

電磁波の妊娠中の胎児への影響についての報告は様々です。
絶対的に危険であると断定できないものの、安全とも言い切れませんので、転ばぬ先の杖の考えで、避けるのが賢明かと思われます。

IH調理器:強い電磁波を出すので、極力使用しない。
パソコン:長時間使用しない。長時間ディスプレイに向かっている人は、異常妊娠が多いとの報告もあります。
電気毛布・ホットカーペット:身体に密着するので、できるだけ使用しない。電気毛布を使用した妊婦からは先天異常児の率が高いとの報告もあります。
携帯電話:マイクロ波を出します。電子レンジはこのマイクロ波の作用で食材を加熱しています。長時間の使用による脳への影響が懸念されており、国によっては子供の使用を制限しています。

 

□ レントゲン検査

妊娠中のレントゲン検査は、被曝量によっては流産を引き起こします。
CTや造影検査(胃透視、注腸検査)などは、絶対に受けないで下さい。
胸部や腹部の単純撮影(数枚程度)は、実際的には問題ないと思われます。

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