医療法人平治会 ASKAレディースクリニック

排卵の検査
排卵を予想することは不妊治療の第一歩と言えますが、従来からの基礎体温に加え最近では排卵検査薬も入手でき排卵予想は随分と進歩しました。尿中のLHホルモンを検出する検査薬は不妊の一昔前の教科書には書かれていないハイテクを利用した手法であり、簡便かつ精度の高い方法です。しかしなんと言っても不妊治療に最も貢献したのは超音波検査法の発明です。とりわけ経膣プローブによる卵胞計測法は精度が高く、これにより治療は大きく発展しました。

排卵の検査には「排卵時期の予測」と「排卵の確認」の二つの目的があります。それぞれの検査を行うに際して最も重要なのは「どの時期にどの検査を行うか」の判断であります。つまりどれほど検査の精度が高くても、排卵と全く違う時期に行ってもなんの効力も発揮できないのです。つまり一週間後の天気は予想できても一年後の長期予報はできないのです。この検査のタイミングに関しては残念ながら誰にでもできるものではなく、その意味で我々不妊専門医の存在意義もあるのです。

以下に各種の検査法について概説いたします。
それぞれの検査には長所と短所があり、併用することで予想はより確かなものとなります。
 1.排卵予測と排卵確認における信頼性

基礎体温
子宮頸管粘液検査
排卵検査薬
超音波検査
 排卵の予想 




 排卵の確認 

不可
不可


 2.基礎体温
排卵後に卵巣(黄体)から分泌される黄体ホルモンは体温を上昇させる作用があり、これを利用したのが基礎体温法です。つまり排卵をはさんで体温が「低温相」と「高温相」の「二相性」に分かれていればおおむね排卵があると判断します。しかし基礎体温は測定時間や睡眠時間、体調や気温などの影響を受けやすいものであり、このようなローテクに精度を追求すること自体に無理があります。その日その日の測定値に意味があるのではなく、連続計測した数値の推移にこそ意味があります。

排卵予想
「低温相の最終日(最低体温日)が排卵日」とする説は間違いではありませんが、排卵予想の精度は高くありません。この体温の陥落は見かけ上、はっきりとしない場合や見られない場合も少なくありません。従ってこれにこだわりすぎると、かえって排卵を逃す可能性があります。
排卵の確認
基礎体温が高温期になれば、それは排卵が起こったことの確認になります。我々は体温が下がった日ではなく、上昇に転じた日を読み取っているのです。なお高温相になっていても排卵が起こっていない「黄体化非破裂卵胞」を鑑別することはできません。
黄体機能の診断
高温相が10日以内で温度差が0.3℃以下の場合「黄体機能不全」が疑われますが、形だけでは判定できないものも多く、その診断は正確ではありません。黄体機能の診断には血液中の黄体ホルモン値の測定が不可欠であり、基礎体温は補助診断として用いるに過ぎません。
妊娠判定
「妊娠」の診断において基礎体温はたいへん有用です。妊娠検査薬を用いなくても「高温期が16日以上継続」していれば妊娠が疑われます。妊娠した後には経過の判定(流産の診断)にも用いられます。

・測定する時間は少々バラバラでも構わない。排卵日付近以外なら毎日でなくてもよい。
・低温期から高温期に移行した「最低体温日」による排卵の予測は難しい。
・低温期と高温期の温度差は「0.3℃」以上あればよい。必ずしも36.7℃にこだわらない。
・ 体温計は水銀式でも電子式でもどちらでも良い(電子式はメモリー機能のあるものが便利)。
・記録は体温表に書き込み、線で結びましょう。

 3.子宮頸管粘液検査
子宮口から子宮内に至る筒状の通路を「子宮頸管」と呼びます。ここはふだんは粘稠な粘液で塞がれ細菌の侵入を防いでいますが、排卵日前後になると透明で柔らかい粘液で満たされるようになり、精子を受け入れる準備が整います。この粘液を採取しガラス板の上で乾燥させたものを顕微鏡で観察すると、シダ葉状のきれいな結晶が観察されます。この現象は卵胞から分泌されるエストロゲンの作用によるものであり、頸管粘液のこのような特徴を利用した排卵予想が「子宮頸管粘液検査」です。具体的には1粘液量、2透明度、3粘稠度、3牽糸性、4結晶形成について評価します。

自宅で行う子宮頸管粘液検査
排卵日が近づくとオリモノの増加を自覚できる人であれば、自分で簡易検査を行うことができます。15センチくらいの長めの綿棒を膣の奥まで挿入し、円を描くように回転して粘液を採取します。引き抜いた綿棒の先に透明な粘液が10センチほど糸を引けばそれが排卵期の頸管粘液です。お手持ちの顕微鏡がある方は粘液をスライドガラスに塗り乾燥させれば、結晶形成の観察もできます。
 4.排卵検査薬
排卵検査薬には尿を用いて行う従来の検査法(「エルチェック」)に加えて、最近は唾液を用いた検査法(「レディデイ」)も発売され、自宅でのタイミング法も精度が高くなりました。
尿を用いた排卵検査薬
卵巣に成熟卵胞が形成されると下垂体より排卵刺激であるLH(黄体化ホルモン)が分泌されます。このLHの急上昇(サージ)の開始から36時間後(ピークから17時間後)に排卵が起こるとされます。排卵検査薬はこのサージに伴って尿中に排泄されたLHを検出するものです。しかしこのLHのピークは短くおよそ半日で過ぎてしまうため、一日一回の検査ではそれを捉えることができないこともあり、12時間をあけてもう一度測定する必要があります。
また検査のタイミングが合っていても検体が尿である以上、その濃度による影響を受けます。さらにLHは排卵以外の時期にも少量分泌されているため、判定時間を過ぎて放置すると陽性を示すこともあります。何度検査しても紛らわしい陽性がでたり、逆に排卵していても全くサインがでないことも多く「高価な割には役に立たない」というのが私の感想です。
なおクリニックで使用する検査薬も市販のものと精度は変わりません(保険適応)。

唾液を用いた排卵チェッカー
唾液による排卵チェッカーは何度でも繰り返し使えるというのが最大のメリットです。
子宮頸管粘液検査と同様、エストロゲン作用により形成された唾液の結晶を観察することで排卵を予想します。尿を用いないため簡便ですが、全く結晶が形成されない人やほぼ毎日観察される人もいて、その反応には個人差があるようです。

排卵検査薬は排卵刺激である「LHサージ」を検出し、排卵チェッカーは排卵に先だって分泌される「エストロゲン」を検出します。排卵が近づくと1エストロゲンが上昇し、2子宮頸管粘液が増え、シダ葉状結晶を形成し、3エストロゲンの分泌がピークを迎えると、4LHサージが起こるというのが排卵のメカニズムであるため、理論上では最初にレディデイが陽性になって、その後にエルチェックが陽性になるはずです。
両者の検査に共通している問題点は偽陽性(陽性のはずが陰性と出る)、偽陰性(陰性のはずが陽性と出る)が多いということです。自分ではこれらは判断できませんので、医師の予想する排卵日と検査薬の陽性日を比較して整合性について一度確認してみることをお奨めします。


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