医療法人 平治会 ASKAレディースクリニック

あすか通信 2003年春号 Vol.1 5月発行

≪院長便り≫
この度、ASKAの機関誌「あすか通信」が創刊となりました。ASKAで行なわれている一般不妊治療及びART(生殖補助医療)の解説や治療に役立つ情報を提供したりする一方で、皆様との「双方向の交流」の一手段として活用できれば幸いと思います。
とりわけ、読者の方からの投稿からなる「掲示板」は皆さんの自由な発言の場として大いに活用されることを期待します。
 不妊治療はオートマチックな流れ作業ではあってはならないと私は考えています。小さなクリニックだからできる「顔の見える医療」が開院3周年を迎えたASKAのテーマです。これからも、一人でも多くの方と喜びを分かち合えるよう努力してまいりますので、宜しくお願いいたします。
 タイトルの「あすか通信」は、吉野の書家、土井一成氏にお願いしたものです。またタイトル横の挿し絵は、薬師寺東塔の法輪に据えられた水煙の「飛天の天女」をモチーフにしています。天平人の大らかさを見習いたいという気持ちを込めて、篆刻しました。(中山)

≪事務長ごあいさつ≫
緑の美しい季節がやってきました。医院前にあるヤマボウシの木も、若葉が木全体をきれいにおおいました。学園前のはしもと産婦人科の不妊専門部門として平成12年の2月に独立した当院も開院から3年が経過しました。
3年というのは一つの節目と考えることができるでしょう。ドクターも前任の久永先生から中山先生にバトンタッチすることになり、医院としてもこの節目を次のステップへのスタート地点と考えたいと思います。
当院は、本院のはしもと産婦人科と同様、常に患者様のペースに合わすことを基本として診療を進めてきました。
何曜日にでも診察を受けることができるのもこの考えのひとつです。今後は、この考えをベースとして、いかに医院にオリジナリティーを持たせるかという課題に取り組みます。患者様の意見を聞かせていただきながら、よい医院を目指して頑張りたいと考えます。(事務長)

≪スタッフ紹介≫
末原和美
胚培養士(エンブリオロジスト)
 大阪は八尾で生まれ育った浪速っ子である末原さんは近畿大学生物理工学部を卒業後すぐに、世界的権威であられる細井先生よりのご推薦でASKAのスタッフとして招かれました。彼女はその端正な風貌には似合わず仕事ぶりは「ちゃきちゃき」として無駄がありません。培養室で卵を扱うときの後ろ姿は大変近寄りがたく、私が冗談を言ってもつっこみは返ってきませんが、休憩室では「普通の女の子」に戻って「先生、お茶どーぞ!」といつも優しい心遣いを見せてくれます。
特筆すべきは彼女のヘルシー指向であります。お弁当のおかずをより分けながらの昼食風景は涙モノ。さらに学園前駅からASKAまでは歩いて通勤しているという健脚振りはなんとも羨ましい限りなのです。しかしその割に、甘い物はフリーパスなところは笑えます。
 培養士という仕事は精緻な技巧と集中力を必要とし、いわゆる「職人気質(かたぎ)」と言えます。彼女は持ち前の器用さを鍛錬しスペシャリストの域に達しつつあり、文字通りASKAのARTを支えていく柱であります。
これからも卵と精子の仲人役として活躍してくれることでしょう。(中山)

≪培養室便り≫
皆さんこんにちは。このコーナーでは、主に体外受精などの生殖補助医療(ART)についてわかりやすく解説をしてゆきたいと思います。
今回は私、培養士の粟井が担当させていただきます!
ところで皆さんは「培養士」って聞いた事ありますか?そして「培養士」とはいったい何をする人達なのかご存知でしょうか?ほとんどの方がこの「あすか通信」を呼んで始めて聞いた、知ったという感じではないでしょうか?そこで今回はみんさんに私達「培養士」の存在をぜひ知って頂きたいと思っています。
「培養士」とは精子、卵子の基礎的な知識を学び、受精卵の培養のトレーニングを受け、認定を受けたエキスパートのことで、正式には「胚培養士(エンブリオロジスト)」といいます。
体外受精によって初めてのベビーが誕生してはや25年。現在では日本でも年間一万人以上がARTによって誕生しています。その技術はまさに日進月歩。近年では重症の男性赴任に対する精子細胞を用いた顕微授精や胚盤胞培養さらには孵化補助法などの技術革新も見られ、我々の仕事はますます高度化しています。
現在、ASKAには2人の培養士がいて、これらの技術を駆使して1人でも多くの方が妊娠できるように頑張っています。ふだん私達は皆さんとお顔を合わす事があまりありませんが、2階にある培養室で人工授精時の精子処理や検査、体外受精、顕微授精などを行なっています。また不妊治療を受けている上で悩んだ時や行き詰まった時の相談役(カウンセラー)としても働いています。みなさん、私達を見かけたら気軽に声を掛けてみて下さい。きっと良いことがあるはずです!(培養士:粟井)

≪おしえて!≫
今回のテーマ 卵巣過刺激症候群(OHSS)
 自然排卵周期においては、卵巣に1〜2個の卵胞が出来ますが、排卵誘発剤を用いた「刺激周期」では、複数個の卵胞の形成が見られます。とりわけ体外受精などで過排卵のための連日注射を行なうと10〜20個の卵胞ができることも珍しくありません。
 「卵巣過刺激症候群(OHSS)」は、複数の卵胞形成によって卵巣自体が腫れることによる腹痛と、随伴して出現する腹水による腹部圧迫感を主症状とする病態です。
症状の程度は、薬剤の種類と投与量そして受ける人の体質(たとえば多嚢胞性卵胞症候群)や薬剤への感受性によって様々です。症状は排卵させる為のhCG注射を受けた後から徐々に出現し、月経前になると急に改善してきます。うまく妊娠が成立した場合には、妊娠黄体が存続する為症状は長引くとされます。
OHSSは排卵誘発を受ける人には多かれ少なかれ自覚される症状ですが、大部分は「日にち薬」で改善してゆきます。体を動かした時やねじった際に引きつった感じやチクチクした痛みを感じたり、普段はいているスカートがきつく感じられる時は、症状の初期と言えます。卵巣が大きく腫大し強い痛みを伴ったり中等量以上の腹水が貯まり尿量が減少してくる場合では注意が必要です。これらのケースでは血液の濃縮が起こり血栓症などを引き起こすことがあるからです。胸水まで貯まるような重症例では、入院加療が必要となります。
OHSSを未然に防ぐには、まず我々医師が薬を慎重に投与することが第一義と言えましょう。排卵誘発を受けている皆様は、担当医よりOHSSの説明を受けた場合には、水分をいつもより多めに取り、安静を心がけてください。(中山)

≪ナースキャップ≫
私のHow to Refresh
 色とりどりの花が咲き、心躍る季節ですが、花粉症の季節でもあるためアウトドアを楽しみたくても、躊躇している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、それとは別に自分で分かっていてもどうしようもなくイライラしたりして、外に出るのもおっくうになる時もあると思います。
そんな時、ひとり映画鑑賞にふけるのです。何故ひとりにこだわるのかと言うと、映画を楽しんだ後、とたん現実に引き戻され、しばしの余韻に浸ることが出来ないような気がするからです。映画を見ることでどこか新しい世界に連れて行ってもらいたいとか、今まで見たことの無いものを見てみたい、というような新たな願望が生まれてきたりするからです。
最近とても感動を受けたのは、【戦場のピアニスト】でした。ポーランドのピアニスト・シュビルマンが自らの奇跡的生還体験を描いた回想録です。戦争で自分だけが助かったという罪悪感にとらわれながら生きる悲しみが切なく、ナチス将校にショパンを弾いてみせる場面は圧巻です。この作品はオススメです!
映画を楽しむことで新たな活力が生まれ、それが少しでも人のお役に立てることが出来たならと思っています。(看護士・西野)

≪掲示板≫
 オフ会報告
ASKAのHPに掲示板ができたことがきっかけでネットで皆さんと交流が始まり、そのうちに会って直接お話がしたいということになり「オフ会」が始まりました。私自身も不妊は病気ではないのに人目を気にし、ひとりで少し悩んでいた頃でした。
参加には戸惑いもありましたが、12月に「オフ会」があると知り、誰か話せる友達ができればいいなと思い切って参加してみました。寒い雨の土曜日でした。幹事さんが学園前駅で目印の「バラの花」を持って、待っててくれました。22名の方が参加されました。ASKAの待合室でお顔を合わせたことがある者同士という方々もいました。初対面という気がせず、自分の治療の内容や不安なことを話せた楽しい時間でした。
その後、それぞれに連絡を取り合う仲間ができ、「次のオフ会は?」の声がチラホラ出始め、有志で集まった4人の幹事で4月に2回目のオフ会を企画することになりました。HP上で参加者を募ったところ29名の方が参加され、その内、前回の参加者は16名で、用があって来れない方を除けばかなりのリピート出席率だったと思います。他の病院からの参加者も多数おられました。
参加者には前もって自己紹介と治療暦・内容などのアンケートに協力していただき、それを一覧にまとめてしおりを作成し、当日お渡ししました。簡単な自己紹介から始まりました。今回は大人数になったのでお店を貸切にし、みんなで一緒に情報交換ができるようにしようと考えた結果、アンケートから皆さんに聞いてみたいことで多かった項目を取り上げてみました。
今年1月末から新しく中山先生が来られてしばらく治療をお休みされている方や別の病院に通院されている方に最近のASKAについて話をしたり、治療で溜まったストレスは皆さんどのように発散していますか?漢方やサプリメントを試されたことがありますか?などについての話をしました。
何故かしらこの手の「集会」は一般に暗い感じのものに思われがちなのかもしれませんが初対面同士とは思えないような和やかな雰囲気で、帰るころには何故か一人一人が元気なっています。不妊治療は人それぞれに違うので自分と同じ様な立場の人と話していると、新しい発見があったり自分が今まで一人で胸に溜めていた悩みも意外に皆さんと同じなんだぁ〜って感じるからだと思います。
私の個人的意見ですが、数多く不妊に対する情報があふれまわっていますが、その中に浸ってしまっている自分が嫌になっていた頃、少しの勇気で参加したお陰で多くの方の「生」の情報を得たり、治療に行き詰まった時に親身に話を聞いてもらえ、アドバイスしてくれる友達ができました。違う病院に通っている友達とも今もいい関係のお付き合いができています。治療に対しても納得のいくように自ら選択し新たな目標と勇気がもてるようになりました。受身ではなく病院の選択も治療の選択も自らの権利なのですから、これからも自分の為に頑張ろうと思います。そして患者側の意見もどんどん申し出て、ASKAが私たちにとって更にいい病院になればいいなあと思っています。

追記:
この「掲示板」はASKAで同じように頑張っている皆さんで患者主体の情報交換ができるコーナーとして設けられました。私も微力ながらオフ会を通して仲間から頂いたパワーを広げていければと考えています。皆さんと治療の話をしながら病院側ともコミュニケーションがとれる楽しい「あすか会」を企画したいと思っています。
アスカの輪を作りましょう♪参加してくださる方はご連絡ください。

≪お知らせ≫
・ 診療報酬の改訂により4月より社会保険「本人」の外来負担は3割に引き上げられました。
皆様にはご迷惑をお掛けいたしますがよろしくお願いいたします。
・ 曜日・時間帯によっては診療の待ち時間が大変長くなることがあります。
また予約枠を越えた分につきましてはお断り申し上げることがございます。
ご迷惑をおかけしておりますが、どうぞご了承くださいませ。
・ 6月より「お子様連れ」の方を対象に夜診の受付時間を30分繰り上げ、16時30分からとさせていただきます。どうぞご利用くださいませ。

≪編集後記≫
ASKA初の機関誌「あすか通信」がついに創刊となりました。
患者さんとの「双方向」のメディアとして兼ねてから構想を抱いていたものです。といっても小学生の学級新聞とさほどかわらぬ体裁に、周囲の反応はいまいち?所詮は院長の自己満足なのでしょうか?
今回の編集にはASKAのスタッフに加え掲示板で活動されているオフ会の幹事の方にも参加してもらいました。これを一つの雛型として「顔の見える医療」そして「我々がサポートする患者主導の医療」を実践できればと考えております。

「あすか通信」は今後、編集局を立ち上げ奈良県下の不妊患者さんをサポートできる情報発信源として活動する予定です。
ASKAのスタッフだけでなく、患者の皆様からも編集に協力していただける方を大募集いたします。
文才のある方、ない方、ひと言いいたい方、イラストのかける方、雑談したい方、・・・とにかく興味のある方はご連絡ください。(中山)

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