医療法人平治会 ASKAレディースクリニック

1.自己抗体について
身体に細菌などの外敵が侵入した場合に作られる「身体を守る免疫抗体」とは違い、自己抗体は「自分の身体の組織を攻撃してしまう抗体」で、これにより引き起こされる疾患を総称して「自己免疫疾患」と言います。
自己抗体には疾患特有の様々な種類のものがあります。膠原病や甲状腺疾患をはじめ多くの疾患で自己抗体の関与が判明しており、不妊領域においては抗核抗体、抗精子抗体や抗リン脂質抗体などが重要です。

抗核抗体(ANA)について
自己抗体の代表格である抗核抗体はもともと全身性の多臓器疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病をスクリーニングするための項目ですが、不妊症においてもルーチン検査の一つとなっています。

2.検査値の解釈
抗核抗体は具体的な抗体値ではなく、陽性限界となる希釈倍率により表示されます。具体的には「40倍未満」が正常で、「40倍」からが陽性となり、以降「80倍」「160倍」のように倍々に段階表記されます。倍数が大きいほどそれだけ抗体値が高いと考えます。
40〜80倍の弱陽性の頻度はかなり高く、健常人の30%が「40倍」、5%が「160倍」を示します。つまり疑陽性の頻度が高い検査なのです。これらの人では多くの場合、生涯にわたって自己免疫疾患を発症しません。

3.不妊症と抗核抗体
抗核抗体と不妊症の間に直接的な因果関係は証明されておりません。実際に抗核抗体陽性の方で自然に妊娠出産されている方は大勢います。一方、抗核抗体陽性を示す前述のSLEでは習慣流産や血栓症を引き起こす「抗リン脂質抗体症候群(APS)」を合併している方がおよそ2割いるとされます。このAPSは不妊症、不育症の原因となりえることから、抗核抗体検査はAPSを含む膠原病のスクリーニングの一つと位置づけることができます。体外受精などの反復不成功症例ではAPSが高い頻度で陽性を示すことが知られており、これらのハイリスク群をスクリーニングする上でも抗核抗体は有用な検査と言えます。

4.抗核抗体陽性の取り扱い
(内科的取り扱い)
スクリーニングで「160倍」以上の抗体値で陽性と判定された場合にはSLEおよびAPSに関連した自己抗体の検査を追加して合併疾患の有無について検討します。抗核抗体が陽性であったとしても自己免疫疾患と診断を受けることがなければ内科的治療を行うことはありません。自他覚症状が見られなければ定期検査を行って様子観察となるのが一般的です。高い抗体値を示したとしてもそれだけで治療の対象とはなりません。

(不妊症での取り扱い)
抗核抗体が陽性であったとしてもそれだけでは不妊症の主原因と断定することはできません。前述のとおり抗核抗体と不妊症の直接的な因果関係はありませんので、検査の主たる目的はAPSのスクリーニングとなります。また最近では体外受精などの反復不成功症例においてAPS関連抗体との関連性が報告されており、検査の重要性が指摘されています。
抗核抗体陽性の場合、不妊治療の一貫として副腎皮質ステロイド剤(プレドニン)の服用を続けて抗体値を低下させることが妊娠につながるという報告はありません。いわゆるステロイド剤はその副作用の点からも漫然とした服用を続けることは避けるべきです。

ASKAの不妊治療不妊治療の心得診療時間アクセス方法不妊治療Q&A

トップページに戻る

〒631-0001 奈良市北登美ヶ丘3-3-17 Phone:0742-51-7717お問い合わせ

Copyright 2003 ASKA Ladies Clinic. All Rights Reserved.