医療法人平治会 ASKAレディースクリニック

基礎体温が低温から高温に変化したとしても、実は必ずしも排卵しているとは限りません。この「黄体化非破裂卵胞」は誰にでも起こりうる現象です。排卵誘発剤を用いた周期だけでなく自然周期でも見られるため、超音波検査(エコー)による排卵の確認は欠かせません。
卵巣に形成された卵胞はその成熟にともないエストロゲンの分泌を増やします。この上昇により下垂体から黄体化ホルモン(LH)の分泌が促され(LHサージ)、卵胞壁が破れて中から卵子が放出される現象が「排卵」です。卵胞の直径が約18〜20mmのサイズに育った状態が「成熟卵胞」と考えられますが、この頃になるとエストロゲンの作用により子宮頚管からの粘液が増え子宮内膜はその厚みを増し、受精着床への準備が進みます。
診察室における超音波検査でモニター画面に映し出される「丸く黒い影」は「卵子」そのものではありません。我々は内部に液体を貯留した「卵胞」を見ているだけであり、その中に存在する卵子は極めて小さなもので、超音波では捉えることはできないのです。従って「排卵」といってもそれは卵子が放出されたという「目撃証言」ではなく「現状証拠」より、排卵が起こったであろう事を推測しているに過ぎません。排卵前のピンと張りつめた卵胞は排卵後には形が崩れ消失したり、逆に内部に血液が貯留して腫大して見えます(これを出血黄体といいます)。また子宮の内膜は排卵前の「リーフ状(葉っぱのように見える)」から白っぽい色調への変化が起こります。血液検査では黄体ホルモンの分泌がみられ、基礎体温は上昇します。また人によっては排卵痛と排卵出血を自覚する人もいます。このようにして排卵が起こったことの診断は総合的に行われるのです。
ところが排卵したと思われても実際には卵子が外に飛び出さない現象が知られています。超音波で観察すると、排卵前とほぼ同じ大きさと色調の黒い影がそのまま残っているのが確認されます。基礎体温は上昇しているのに、排卵が起こっていない・・そんな不思議な現象「黄体化非破裂卵胞」は決して珍しいことではありません。
これについてはっきりした原因は不明ですが、卵胞壁の破裂に関与するプロスタグランディンとの関連性が指摘されており、不妊原因の一つとも考えられています。多くは偶発的ですが、排卵誘発剤を用いた周期では誰にでも起こり得ます。排卵誘発剤によって形成された複数の卵胞はその発育が均一でないことも多いため、最初に成熟した卵胞(主席卵胞)に合わせてhCGの切り替えを行い排卵を促すと、成熟過程にある小さな卵胞は排卵できずにそのまま残ることがあります。このような卵胞は通常勢いを失いそのまま小さくなって消失しますが、なかには次の月経になってもホルモンを分泌し続けるものがあり、新しい卵胞の発育に影響を及ぼすため、排卵障害や不正出血の原因となり治療の妨げとなります。排卵誘発剤を大量に用いる体外受精の後には休止期間が必要なことや、実施する前の周期に排卵を抑えるためのホルモン剤を服用するのはこのような理由によるのです。「黄体化非破裂卵胞」は排卵前後に超音波検査を行うことでその存在が確認できます。また次の周期の月経中に診察を行い、卵胞の遺残が確認されればそれを裏付ける所見となります。
もし排卵せずに卵胞が残った場合には次の周期は治療をキャンセルします。古い卵胞がホルモンを分泌したり、途中で排卵したりすることで(排卵してもこの卵子は受精しません)、新しい卵胞の発育に影響をおよぼすからです。この場合、できればホルモン剤を服用して排卵を抑えた方が回復は確実となります。一周期休むことで卵巣はリセットされ、正常な排卵周期に戻り治療を再開することができます。

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