Achievement and Success with Kitatomigaoka Art staff



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不妊治療〜ここだけのお話 第4号(5月4日発刊)

発行部数 271部(まぐまぐ)
発行元 http://aska-cl.com/
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【CONTENTS】

01:ASKAからのお知らせ
02:診療の場から〜その2「専門クリニックの立場から」
03:全国子宝温泉情報
04:自然至善(si-zen si-zen)
05:編集後記



◆はじめに

「行きつけ」を気取るつもりはないが、気に入って通うフレンチの店がある。
夫婦で切り盛りするオープンキッチンのその店は、6人も入れば混雑した雰囲気となる小さな店構えだ。地元ではちょっと名の知れたこの店に最初に出向いたのは、バブルもはじけた頃のクリスマスであったと記憶している。

自称「B級グルメ」の私だが、肩肘張った店も嫌いではない。話のネタにと名店を食べ歩いた頃もあった。しかし大抵は、店の厳かなる雰囲気に飲まれてしまい、じっくりと味わうことなどできないためか、最初が最後となることが多い。

この店の自慢は、シャイなシェフの気取らないフレンチ。見たところメニューに横文字はないし、ワインの注文で見栄を張ることもない。出される料理には、素材に並々ならぬこだわりを持つシェフの生真面目さが添えられているようだ。居心地の良さに時間を忘れ、心も満腹となる。内緒にしたいが、値段も安い。

そんなとある昼下がりのこと、訪ねるとシェフは浮かぬ顔であった。ランチ目当てのこの時間帯、平日のお昼でも混み合うこの店に空席がある。表通りにできたパスタ専門のファミレスに客を奪われ、入りが少ないのだという。ファミレスの対極にあるこの店が、くしくもスローフードをあつかうファストフード店に客を奪われるとは、皮肉な話だ。


「またお客は戻ってきますよ」と安っぽい言葉で励まそうとすると、「いや、うちには来なくていいのです!」と上気するシェフ。シェフは、客を奪われたことが気に入らないのではなくて、ファストフードに流れる嗜好をもった客に自分の料理を食べさせるのが歯がゆいのだと言う。

こびることなく、流行も追わず寡黙に素材に立ち向かうシェフの姿には、さしずめ老舗割烹の板場に通じる緊張感が漂う。オープンスタイルへのこだわりは演出ではない。

料理を出すタイミングをはかり、食べる客の反応を確認するためである。熱を加える料理になると、細心の注意をはらって、逆算して調理にかかる。これ以上にない「間合い」で料理を給仕するのがシェフの信条なのだ。 

ところが、である。出された料理を前に、「わ〜キレイ。おいしそう」と歓喜の声を発した後、再び仲間との会話に高じる女性客が意外にも多いのだそうだ。なかにはしゃべるのに夢中で、ほとんど口にしない人もいるのだとか。

プロとして最上と考えるもてなしも、空回りを通り越して空しさに終わるとすれば、これ以上に辛い仕打ちはない。「描きたい絵」と「売れる絵」が違うとジレンマに悩む絵描きしかり、上客ばかり相手にしていたのでは食べてゆけないと分かっているだけに、シェフの苦悩も大きい。トレンドメーカーであるF1層(20〜34歳)は、店にとっても大切なお客だが、時として移り気な彼らを相手にするだけに、シェフの気苦労は厨房内にとどまらないだろう。それでも「おいしかったです。また来ます」と笑顔で帰って行くそうだから、邪険にも扱えないのだ。

気心の知れた仲間と食事を楽しむことは、最上の喜びであるし、そこに流儀や作法を持ち込むような野暮な提案をするつもりはない。そもそもどう食べようとそれは食べる側の勝手であろう。 ファストフードの食文化が低いとは思わないし、シェフも私もその「味」で育ってきた世代だ。厨房の奥から運ばれてくる、メニューサンプルと寸分変わらぬ料理は、誰が作りそして誰が食べるのかを問わない「品質の均一性」が売り物なのだが、同時に「顔の見えない」サービスでもある。

作り手が顔を見せている店であれば、客の側もそれに答えてこそ、店主の考えるサービスを「最上」の形で享受できるのではなかろうか、、。そんな会話を交わした後のシェフは、いつもより慎重にローストの火加減を気にしているようであった。

医業は、近年マニュアル化された「クオリティコントロール」の時代を迎えつつある。「ISO認定」を取得する医療機関も出てきていると聞く。「今後、生殖医療においてもクオリティマネージメントは、クリニックの資質を判断する重要な条件となるだろう」とは、広島HARTクリニックの高橋先生のお言葉である。

どこでも「均一な医療」が受けられるとすれば、それは医療レベルの向上と言ってよいであろう。しかし「均一」は「画一」に陥る危険性をはらむ。

どこまでマニュアル化が進んでも、医療は、オーダーメイドであって、オープンキッチンの向こうから患者さんの顔を見続けてゆきたいと思うのである。

                         院長 中山 雅博



◆ASKAからのお知らせ

1)ASKAレディースクリニックのWEBサイトに新しいサイトOPEN!

不妊の基礎知識の中の「主要な薬剤一覧」を追加致しました。
http://aska-cl.com/sterility/drug.html

2)新しい掲示板が2つ出来ました。「Drへの質問」と「卒業生の集い」です。

Drへの質問
http://aska-cl.com/board-doctor.cgi

卒業生の集い
http://aska-cl.com/board-graduation.cgi

3)「あすか会通信」春号 UP致しました。
http://aska-cl.com/asukakai.html



◆診療の場から〜その2「専門クリニックの立場から」

鳴り物入りで導入された生殖補助医療(以下;ART)への助成金制度。
その創設にあたっては、関係者の多大な苦労があったことが想像される。

ARTを保険適応とするか否かという根幹に切り込むことを避け、従来通りの自由診療として容認し、「条件付き一部助成」という形で国が関与するというスタイルには、「ひな形」がある。

産科診療の屋台骨である妊婦健診と分娩は、自由診療であるが、妊婦健診料の一部負担が自治体より、分娩費用については社会保険より「出産育児一時金」として30万円が、さらに被保険者であれば休業保障(出産手当金)が受けられる。

自由診療とそれを補完する助成金は、混合診療という特殊な医療背景をもつ生殖医療において、患者と医療機関双方の解決の糸口となりうるのか、、。
前回に続いて今回は、専門クリニックの立場から検証してみたい。

近年、ガン治療などでは施設の治療成績などが公表され、患者自身が成績で病院選びをできる時代となったが、「妊娠率」による客観的な比較が可能な不妊領域では、他に先駆けていち早く競争が繰り広げられている。

専門クリニックは、集客を考えて都心に展開されることが多いため、その初期投資は莫大なものだ。さらに培養士やカウンセラーなど特殊技能の人材を抱え人件費もかさむ。さらには技術向上のために設備投資と研究に資金を費やすなどと、とかく不妊クリニック経営は、お金がかかるものなのだ。

現在、ARTの料金は、施設により様々に設定されており、15〜50万円とその開きは大きいのだが、その料金設定には、各施設の台所事情が伺われるといってほぼ間違いない。

実はART を全面的に保険適応とすることに異議を申し立てる施設は少なくないという。現状では施設間較差が大きすぎ、全国で同レベルの医療を受けることができないということ、さらには医療行為に対して保険点数が設定されると、診療報酬を上限とするサービスしか提供できず、現在の成績を維持できない恐れがあるからというのが理由である。

医療費が国家財政を圧迫する現状をふまえると、ARTの価格(保険点数)設定が医院経営の採算ラインから逆算されることはないだろう。医療費は大きさの決まっている「パイ」に喩えられる。それをどう切り分けるかは、お上が決めることであって、我々は「こんな小さなパイではお腹が満たされない」と渡り合える立場にはない。

例えば体外受精1回10万円と設定されたとしよう。どれほど良い機材と技術を提供しても報酬に変わりがないとすれば、飲食店しかり、材料費を節減して質を落とすほかに方法はない。価格設定によっては私的クリニックは、廃業へと追い込まれるかも知れない。ARTへの保険適応の導入を声高に叫ばないのは、こともあろうか我々自身なのである。

少子化問題を最優先課題として捉えるなら、本来は公的病院で赤字覚悟でも取り組むべきものであろう。日本の将来を背負う次世代なくしては存続できないのだから。しかし日本のARTは、私的施設がリードしてきたという経緯がある。その道のパイオニア達は、日本を代表する名だたるプライベートクリニックを率いているのは周知の通りである。国としても重鎮をないがしろにするような策を講じにくいという問題もあろう。このように助成金問題には、一筋縄では片づかない、さまざまな思惑を垣間見るのである。

技術革新による大量生産は価格の低下をもたらす。また競争の原理もそれに拍車をかける。これが競争社会のあり方で、生殖医療についても健全な自由競争が望まれるところである。受精卵の培養技術は、エドワードら先人の頃から格段の進歩を遂げている。いまやARTは、大学病院ならずとも、クリニックレベルで十分なし得るものとなった。事実全国にはおよそ600もの体外受精施設が「乱立」しているのだ。

「技術の競争」は、そろそろ頭打ちになりつつある現在、消費者(患者)としての関心事は「価格の競争」に違いない。各施設がしのぎを削ることで、質が向上し、価格も下がるのであれば、生殖医療も成熟期を迎えたと言えよう。

クリニック側も少子化問題を担っているという自負があるのなら、そろそろ「適正価格」を検討しても良い時期にきているのではないであろうか。



◆全国子宝温泉情報

★湯の川温泉★

三方を山で囲まれた閑静な地に湧くひなびた温泉、湯の川温泉は、和歌山龍神温泉、群馬川中温泉と並んで日本三美人の湯として女性に人気の温泉です。婦人病にもよく効くといわれており、不妊症治療と美肌と一石二鳥の効果が期待できる温泉です。

所在地  〒699-0501 島根県簸川郡斐川町学頭
照会先  斐川町役場商工観光課 (0853-73-9240)
効能   慢性リウマチ、神経痛、疲労回復、関節痛、冷え性、慢性皮膚病、慢性婦人病、慢性消化器病
泉質   ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉
湯の色  無色透明
源泉温度  47.9度

湯の川温泉情報
http://www.kankou.pref.shimane.jp/pickup/spa/detail.asp?spa_cd=20BF8A14-21CA-41C4-88F3-EA018D22C283



◆自然至善(si-zen si-zen)

PART4 女性と漢方 −冷え症−

今回は、女性が訴える症状の中でも特に多いといわれる「冷え」についてご紹介させていただきたいと思います。特にこれから夏にかけて、冷房病で悩んでいる方はご一読下さい。

冷え自体は命に別状がないため軽く考えがちですが、ほうっておくと月経異常や不妊などの生殖器系の病気や消化器、泌尿器などの病気の原因にもなるといわれていることから、適切な対応が求められます。

冷えは、西洋医学では特に病気ととらえず、適切な治療法がないのが現状ですが、漢方医学では「冷え症」という一つの治療対象ととらえ、積極的に対応します。すなわち、「冷え症」は食生活や生活環境、ストレス、ホルモン異常などによる自律神経の乱れや新陳代謝の低下、水分代謝異常、胃腸機能低下など多くの要因が複雑に絡み合って発症すると考えます。

従って治療法も、体全体を暖め新陳代謝を活発にしたり、血液の循環を改善したり、あるいは水分代謝を改善する生薬を適切に組み合わせた漢方薬が用いられるとともに、衣食住にかかわる日常の生活習慣の改善(漢方では養生といっています)をはかるなど、総合的な治療を目指します。

では、「冷え症」に用いられる代表的な漢方薬をご紹介させていただきます。
〇当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう):末梢の血流を増やす事により冷えを改善するという効果があります。またしもやけなどの手足の冷えにも用いられます。

〇当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):疲れやすく、貧血気味で下半身がむくみやすい方に用いられます。

〇加味逍遥散(かみしょうようさん):症状が安定せずイライラ感を伴う方に用いられます。

〇桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):顔がほてる、肩がこる、月経前よりおなかが痛む方に用います。

〇桃核承気湯(とうかくじょうきとう):桂枝茯苓丸の症状で、便秘を伴う方に用います。

これらが冷え症の代表的な漢方薬です。これらの漢方薬は冷え症に限らず月経異常、更年期障害など女性によく使われる漢方薬にもなりますので、服用を希望される場合にはご相談下さい。

表 冷え症と主な漢方薬
体力
方剤名
主な症状
あり



なし
桃核承気湯
冷え、顔のほてり、肩こり、便秘、頭痛
桂枝茯苓丸
冷え、顔のほてり、肩こり、下腹部痛
加味逍遥散
冷え、顔のほてり、多愁訴(イライラ感、不安他)
当帰芍薬散
冷え、疲労倦怠、貧血、めまい、手足のむくみ
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
強いひえ、しもやけ、下腹部痛、腰痛
                    (協力 カネボウ薬品株式会社)



★編集後記

ゴールデンウイークです。皆さんは、どこか行ってこられましたか?
旅行に、行楽にそして注射に出かける人にとっても、気持ちの良い季節ですよね。

この連休を利用して、クリニックは外来待合いの拡張・改装工事を行っております。一年越しの計画がようやく実施の運びとなりホッとしております。
工事は5月一杯かかるかも知れません。期間中ご迷惑をおかけしますがリニューアルをお待ち下さいませ。
                              (中山)

ASKAレディースクリニック掲示板〜カキコお待ちしております_
http://aska-cl.com/board.cgi


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★発行者  ASKAレディースクリニック  中山雅博
URL http://aska-cl.com/
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