医療法人平治会 ASKAレディースクリニック

不妊治療のための医院選び

はじめに
医院選びほど難しいものはありません。飲食店のように一度食べてみて気に入らなければ次回は他店へ、といったことは容易ではありません。
最近では病院ランキング本や臨床成績を特集した週刊誌などが書店に並んでいますが、集計方法が曖昧だったり、評価が平面的であったり、我々関係者が見れば片手落ちのようなものも多く、その実用性を疑問視するものも少なくありません。とは言え、選ぶ側としては何かに頼らなければ選別は難しく、口コミも総動員して名医探しに奔走するのであります。

さて、体外受精などの高度生殖補助医療(ART)を取り扱う施設として認可を受けているのは、なんと全国で600施設にもおよびます。これは諸外国では見られない非常に特殊な医療環境です。あなたの居住地にもきっと、いくつかの登録施設があると思われます。これほどたくさんの施設があるので、全国どこでも一定水準の医療を受けられると考えられがちですが、実際にはその較差が大きいのが現状です。

不妊治療を受けるための医院選びには、いくつかのポイントがあります。選択できる医院が複数存在するという環境に、あなたがお住まいであることが前提となりますが、そのポイントをレクチャーいたしましょう。

 

チャプター1 産婦人科医院と不妊治療医院とは全く別である

少なくとも私にとって、不妊治療は片手間でできる内容のものではありません。不妊専門という診療形態を取らなければ、技術的に安定し、あらゆる面でご夫婦に配慮できる診療を提供することが難しい領域だと感じています。
これまでの産婦人科医院では、妊婦健診もがん検診も不妊治療もすべて取り扱って来ました。しかし近年、産婦人科の中でも専門化が進み、周産期、婦人科腫瘍、生殖内分泌はそれぞれ専門医が担う別の分野として発展してきました。残念ながらこれら全てをオールラウンドにこなせるスーパー産婦人科医はいないと言ってよいでしょう。“不妊治療だけを行う医院”と“不妊治療も行う医院”とでは、その治療内容には大きな違いがあります。昔から“餅は餅屋”と言いますが、現代風に言えば普通のファミレスとハンバーグ専門のファミレスで食べるハンバーグメニューほどの違いがあります(ただしどちらが旨いかには好みがありますが、、)。
不妊治療の医院選びは、不妊治療に力を入れている施設を探すのが基本です。

 

チャプター2 不妊専門医院にも違いがある

不妊クリニックにも、タイミング療法から人工授精を経てARTまでのステップアップ治療を行う所と、主にARTを行う所があります。一般に地方では前者の施設が中心で、都市部では後者が乱立している傾向があります。
前者は比較的小規模で、外来も一人の医師(院長)が担当する場合が多く、院長の方針が貫かれている良い面と悪い面を持ち合わせます。ご夫婦を一般治療からARTまで一貫して担当できることが最大のメリットでしょう。

一方、後者は都心の一等地に構えるメガクリニックであり、ソフト、ハード共に充実しております。雑誌などにも取り上げられる不妊治療の殿堂といって良い施設ばかりです。診療はカリスマ院長と引き抜かれた優秀な医師、さらには専門資格を取得したスタッフがそろっています。
複数の医師でチーム医療を行うため、曜日により外来担当医が変わるのは、致し方ありません。申し送りが不十分であれば医師による意見のくい違が生じることもあり、また個々のご夫婦の性格や信条にまで配した細やかな対応はあまり得意とは言えません。研究活動も精力的である反面、設備投資が治療費に跳ね返ることもありますが、世界最高レベルの医療を受けられると考えれば、納得もできるのでは。

 

チャプター3 自分に合った医院を選ぶ

前述した医院のどちらがあなたに向いているかは、一概にはコメントできません。しかしどちらを選ぶかは、その後のあなたの治療にとって大変に大きな違いをもたらします。

“検査だけと軽い気持ちで受診したら、いきなり排卵誘発剤を処方された。”
“不妊専門と聞いて受診したら、待合室で妊婦さんと一緒だった。”

こうしたことがつまずきとなって、転院する方は、あとを絶ちません。
風邪で受診した内科や骨折で受診した整形外科のように通院が短期間であれば、気に触ることがあっても、少しばかり我慢をするだけで済むでしょう。それにどこの医院を受診しても風邪や骨折の治療に大差はありません。

しかし時に数年におよぶ不妊治療は、医師との信頼関係がなければ続けることは大変苦痛です。通院さえすれば必ず妊娠できるという保証がないため、医院はどこでも構わないという訳にはゆかないのです。

 

チャプター4 専門医院の見分け方

不妊クリニックがどのような方針で治療を行っているかについて、ホームページからくみ取ることはかなり難しいものです。主たる治療方針がステップアップ法なのか、ART中心なのかは、その施設の公表する人工授精とARTを受けた患者数とを比較することで大まかに捉えることができます。
タイミング法→排卵誘発法→人工授精→ARTの順に段階的にステップアップ療法を行う施設では、ステップが上がる毎に患者さんは減少してゆくことになります。ピラミッド型になるため、人工授精を受ける患者さんよりARTを受ける患者さんの方が少ないことになります。

あくまで目安ですが、ステップアップ治療を行う医院では
人工授精を受けた人数 > ARTを受けた人数 となり、
ARTを中心とする医院では
人工授精を受けた人数 < ARTを受けた人数 となります。

注意)人数と件数は違います。同一の患者さんが繰り返して治療を受けているので、人数<件数となります。またART不成功の方が累積した場合は、この原則は当てはまらない場合があります。

 

チャプター5 専門医院の条件

チャプター4にある専門医院の見分け方は、主に医院が集中する都市部でのお話です。一方、地方では不妊専門医院と一般産婦人科医院とが混在しております。“不妊治療だけを行う医院”と“不妊治療も行う医院”の違いは、一見してもよく分からないものです。あなたが前者を捜しているのであれば、以下の条件を参考にしてください(これは私の考えるものであり、絶対条件ではありません)。

ART施設として学会登録されている。
学会認定の生殖医療専門医がいる。
特定不妊治療助成金制度の認定施設となっている。
胚培養士が常勤している。
不妊カウンセラーやコーディネーターが常勤(非常勤)している。
不妊症看護認定看護師が常勤している。
学会発表や論文発表を行っている。
HPなどで治療成績などの情報公表をしている。
妊婦健診を行っていない。

 

チャプター6 ランキング本か口コミか

医院選びには、駅看板やタウンページなどのアナログなメディア、不妊雑誌などのマスメディア、ホームページやネットの掲示板などのウエブサイト、そして根強い口コミ情報など、いくつかのソースがあります。

この中でとりわけ影響力の大きいマスメディアについてですが、近年では「病院ランキング本」などが出版され、病院の評価が巷で話題となっていることが、書店に山積みされた本からも分かります。患者数、治療件数や成績、なるほど“数字”ほど分かりやすいものはありません。
実はこうした病院の実力評価の先駆けとなったのが不妊治療の領域なのです。不妊治療においては“妊娠率”という分かりやすい指標があり、従来から各施設が臨床成績を競ってきた経緯があります。不妊症は女性なら誰でも関心のあるテーマであり、情報開示の流れと相まって不妊クリニックの評価は週刊誌の格好の題材となりました。

しかしこれらの評価にはいくつかの問題点があります。
第一に医院を“妊娠率”で評価するのは簡単なことではありません。ご夫婦の年齢、不妊原因などの条件を一定にしなければ正確な比較とはならないためです。しかもこれらの調査は協力的な医院のアンケート形式によってなされるため、マスコミが主導して全国の医院を一斉に比較したものではありません。
勿論、メディアの側もそうした限界を知っており、前提とした上で比較していることを明言しています。

第二に“妊娠率”の比較が体外受精などのARTの成績に限られて行われている点です。これから不妊検査でも受けようか、と考え始めたあなたにとって、果たしてこの成績はどれ程の意味があるのでしょうか?
受診するご夫婦の大多数は自然な治療を望んでいるのであり、あなたがARTを最初から望んでいるのでなければ、このような高度治療の成績は今すぐに関係することではないのです。
勿論、治療の最終段階であるARTまでを見据えた医院選びというのも重要でありますが、あたかも“ARTの成績が良い病院が不妊治療の良い病院である”という論調に惑わされてはいけません。
本当に良い病院とは“最小限の検査と治療で、ご夫婦の負担を第一に考えて妊娠させることができる病院”に他ならないのです。

契約医療といえども、基本的には“人と人の関係”です。不妊治療を満足して受けられるかどうかは、こうした数字だけでは示されない様々な要素によって左右されることを知っておいた方が良いでしょう。


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