医療法人平治会 ASKAレディースクリニック


多嚢胞性卵巣とは

排卵障害の原因として一番多いのが、この多嚢胞性卵巣(PCO)です。 これに肥満、多毛などの症状が加わると多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と呼ばれる病態となります。原因は、はっきりと分かっていませんが、卵巣内の男性ホルモンの代謝異常とされています。またPCOにはインスリン抵抗性という糖代謝異常(糖尿病)が影響しているとされます。

名前を聞くと、なんだかとんでもない病気と診断された気分になりますが、 これは病気というよりは体質を言い表したものだと考えてください。 PCOにも、超音波検査で見ると卵巣表面に卵胞がぎっしり整列(ネックレスサイン)している “本当のPCO”から、やや卵胞が多めかな?と言った“PCO様”まで様々です。

PCOであっても自然に妊娠されている方は、世の中にいくらでもおられます。 PCOで問題となるのは、排卵障害が強いか、弱いかです。基礎体温できれいに二相性になっている方は、心配ありません。月経が定期的にあっても、体温が上がらずに、茶色のオリモノや少量の出血が続く場合は、無排卵周期が疑われます。

 

PCOと治療方法
1.月経周期と治療の目安

30〜45日程度の月経周期の方
基礎体温が二相性であれば、全く問題ありません。自然妊娠も可能です。

45〜60日程度の排卵周期の方
基礎体温が二相性であれば、自然妊娠も可能ですが、自力でのタイミング合わせは、なかなか難しいと思います。軽い排卵誘発剤を使用して排卵を誘導した方が、性交渉のタイミングが取りやすくなります。

3ヶ月〜6ヶ月年の月経周期もしくは無月経の方
排卵は起こっていないので、治療しないと妊娠は難しいと思われます。 軽い排卵誘発剤では排卵が起こらない場合には、作用の強い注射剤を試すことになります。

 

2.排卵誘発剤

第一選択となるのは、クロミフェン(クロミッド、セロフェン)で、これが最初に試されます。

月経周期の5日目から5日間服用します。まずは1日1錠から開始し、効果がなければ1日2錠に増やします。それでも効果がなければ、二段階投与法(この場合は保険適応外)を試したり、副腎皮質ステロイド剤(プレドニン錠)を併用したりします。

クロミフェンで排卵が起こらない場合には、注射の排卵誘発剤(FSH製剤)を 使用します。FSH製剤は体外受精でも使用される作用の強い薬剤であるため、効き過ぎる場合があります。PCOの方では、多数の卵胞が発育し、卵巣過刺激症候群という副作用を起こしやすいため、注射の使用には注意が必要となります。 具体的には少量の薬剤を毎日続けて注射する方法が最良で、これにより最小限の排卵にとどめ、副作用や多胎妊娠を避けることができます。

毎日の注射の通院は大変なため、通常は自己注射ができるキットを用います。 このキットは便利ですが、たいそう値が張ります。 注射を開始して、早い人で10〜14日間で排卵が得られます。

しかし3週間以上の注射が必要となることも多く、辛いだけでなく治療費も高くつきます。 頑張って4週間も注射を続けたのに、結局排卵しなかったということも度々経験します。逆に卵胞が育ちすぎて、副作用回避のために治療キャンセルという場合もあります。

注射を使ってなんとか排卵することができたとしても、すぐに妊娠するとは限りません。この治療を3周期も続けると、大抵は泣きが入ります。従って、少しでも妊娠率を上げるために、人工授精を併用することをお勧めします。

 

3.補助療法

PCOの方は肥満であることも多く、糖代謝異常がある場合があります。
インスリン抵抗性と言って、インスリンが持つ血糖を下げる作用が減弱した状態が起こっている人では、排卵障害に対して血糖降下剤であるメトフォルミンが有効な場合があります。クロミッドで排卵が得られない場合に、試してみる価値があります。

 

 インスリン抵抗性の検査

空腹時血糖×空腹時インスリン値÷405で計算された数値が1.73以上であると “インスリン抵抗性あり”と診断されます。

 

 メトフォルミン(グリコラン、メルビン)

1日3回食後に服用します。比較的マイルドに血糖を調整しますが、効き過ぎると低血糖症状が出ます。空腹時に脱力感や眠気を感じた場合には、すぐに糖分を摂取してください。食事を摂らなかった場合は、服用してはいけません。
また下痢の副作用のでる方もおられます。“軟便になって便秘が解消した”程度なら問題ありませんが、水様性の下痢が続く場合には、中止してください。

インスリン抵抗性を改善する最良の方法は、運動とダイエットです。
体重が減少することで排卵障害が解消することもあります。
しかしこれが一番難しい治療法かも知れません。

 

 卵巣多孔術(LOD)

PCOに対する手術療法として古くから、楔状切除術と言って、卵巣の一部を“くさび(楔)型”に切除する手術が行われてきました。最近ではこれに代わり腹腔鏡手術によってレーザーなどを用いて沢山の孔を開ける手術が行われ、その効果が実証されています。その効果には個人差がありますが、自力で排卵するまでは改善しなくても、排卵誘発剤が効きやすくなることも多く、有効な選択肢と考えられます。デメリットとしては、腹腔鏡手術は全身麻酔で行うため、数日間の入院が必要となります。また手術の効果が生涯続くのではなく、一年ほどで元通りになってしてしまうことです。従って手術を行った後は、人工授精や体外受精などを積極的に進めてゆく方が良いと考えます。

 

 体外受精

排卵はできるものの妊娠に至らない、もしくは注射は効くものの卵胞数が多すぎて治療キャンセルが続いた場合などには検討しても良い治療法です。体外受精の時は、卵胞数が多くても、採卵して受精卵を凍結保存するなどして副作用と多胎妊娠を回避することができます。

 


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