受精卵凍結保存

受精卵の凍結保存

受精卵は、専用の培養液を用いて液体窒素で凍結すると長期間の保存が可能となります。
胚移植後に余った受精卵は、凍結保存することができます(受精卵凍結保存)。凍結した受精卵は、融解して移植することができます(凍結受精卵融解胚移植)。
凍結受精卵の保存については、「受精卵・配偶子凍結保存規約」を参照下さい。

凍結保存を行う状況
①妊娠率の向上のため新鮮胚移植を見送る場合
②新鮮胚移植後に受精卵が余った場合(余剰卵)
③新鮮胚移植が下記の理由でキャンセルとなった場合
・採卵数が多く血中エストロゲン値が高いため、新鮮胚移植を実施すると副作用(卵巣過刺激症候群)の出現や妊娠率の低下が予想される場合。
・子宮内膜が薄く移植に適さない場合。
・体調不良など。
④凍結保存を目的とし、後の周期で移植を計画している場合。

新鮮胚移植がキャンセルとなる目安(何れかが該当する場合)

採卵数(卵胞数)10個以上
血中エストロゲン3000 pg/ml以上
早期黄体化

凍結保存の時期
受精卵は、受精後の各ステージにおいて凍結保存が可能ですが、当院では主に初期胚と胚盤胞での凍結を行います。
なお未受精卵(卵子)の凍結保存は、諸問題を抱えるため当院では実施しておりません。
初期胚凍結:受精後2〜3日目の初期胚の凍結
胚盤胞凍結:受精後5〜6日目の胚盤胞の凍結

保存状態
複数の受精卵を凍結する場合、通常1回分に小分けして容器に保存します。
1つの容器に保存する受精卵の数は、その状態と使用目的により異なります。
具体的には初期胚は1つの容器に1〜2個保存し、胚盤胞は1個保存します。
胚盤胞:1個ずつ凍結(胚盤胞移植に使用する数は1個のため)
初期胚:1〜2個ずつ凍結(初期胚移植に使用する数は1〜2個のため)

(注意)受精卵の凍結保存費用は凍結容器の個数(ロット数)で算定されます。

凍結受精卵の融解胚移植

凍結受精卵は融解後、数時間〜数日間培養した後に移植します。
具体的には初期胚は融解後、数時間培養して当日に初期胚移植をするか、2〜3日間追加培養して胚盤胞移植を行います。
凍結胚盤胞は融解後、数時間培養して当日に移植します。

また凍結受精卵は、月経周期のいつの時期でも子宮に移植できる訳ではありません。移植に先立って月経周期の調整や着床に適したホルモン環境を作る準備が必要となります。

ホルモン補充周期による胚移植法
卵胞ホルモン剤や黄体ホルモン剤を服用することで、自然排卵と同じホルモン環境を再現して受精卵を移植する方法です(この方法では自然排卵は起こりません)。子宮内膜の厚みが十分になれば、受精卵を融解移植します。
当院では原則としてホルモン補充周期による胚移植を行います。

自然排卵周期による胚移植法
自然排卵にタイミングを合わせて胚移植する方法です。排卵が確認された後に受精卵を融解移植します。

受精卵の凍結のリスク

凍結・融解操作および長期保存による凍結障害
受精卵は、凍結および融解の際にダメージを受けることがあるため、凍結された受精卵のすべてが生き返り良い状態で移植できるとは限りません。
凍結受精卵は、融解後しばらく培養した上で生存状態を確認して胚移植可能かどうかを検討します。凍結障害を起こしている場合には、移植はキャンセルとなります。
受精卵の脆弱性に起因するこうした凍結障害の頻度は少ないですが、避けることができないことをご了承ください。

胎児への影響
現時点では凍結受精卵による出生児とそれ以外の出生児との先天異常の発生率は、ほぼ同等であるといわれています。しかし臨床応用されてまだ歴史が浅い治療法であるため、出生児の身体的、精神的発達上の問題点や長期の影響(たとえば次世代、次々世代)については不明である点をご了承下さい。

孵化障害
受精卵の凍結により透明帯が硬化して孵化障害を起こすことがあります。
そのため当院では凍結卵の移植に際しては、全例で孵化補助法(前頁参照)を行っております。

火災、災害による損失
火災や災害などにより施設が損壊した場合、凍結保存された受精卵が損傷、紛失する可能性があります。これらにつきましては補償できないことをご了承ください。なお凍結保存に用いるタンクの冷却は、液体窒素で行われているため、停電による影響はありませんが、震災などで液体窒素の供給が絶たれた場合には、救う手立てがありません。

凍結保存シミュレーション

以下に採卵後の胚の培養と凍結保存の例を示します。

具体例
採卵日 採卵数8
 ↓
1日目 受精数6
 ↓
3日目 初期胚6
 ↓
5日目 胚盤胞2個 → 凍結保存(胚盤胞に到達しなかった4個は廃棄)

8個の卵子を採卵し、翌日に6個の受精卵(前核期胚)ができたとします。
初期胚を経て胚盤胞に到達した2個は凍結保存します。胚盤胞に到達しなかった4個の受精卵は廃棄されます。

凍結数:胚盤胞1個 料金:20,000円×2ロット=40,000円(税別)

凍結料金には、凍結手技料と一年間の保存管理料が含まれます。
保存期間が一年を超過する場合には、次年度分の継続管理料30,000円(税別)を前払いし、書面にて凍結延長申請を行います。

凍結料金はロット数に応じて算定されますが、継続管理料は、凍結ロット数に関係なく年間30,000円(税別)です。つまり継続管理料は「受精卵の家賃の前払い」とお考えください。貸家に何人の人(受精卵)が住んでも家賃は同じとなります。


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