TESE-ICSI

TESE-ICSIは、精液中に精子が見つからない無精子症に対する治療法で、精巣から採取(精巣内精子採取術:TESE)した精子を用いて顕微授精を行う技術です。この治療法の登場により、無精子症の方でも妊娠の可能性が高まってきました。

無精子症

閉塞性無精子症

精子は造られていますが、精子の通り道に問題があり、精液中に精子が認められない状態です。

非閉塞性無精子症

精子の通り道に問題はないものの、精巣で精子を造ることができない状態です。

TESE(精巣内精子採取術)

TESEは、精液中に精子が見られない男性に対して、精巣から直接精子を採取する手術です。手術は医師が行い、胚培養士が採取した組織から精子を探します。精子の回収成功率は、症例によって異なります。

Conventional TESE

閉塞性無精子症に適用します。ほぼ全症例で精巣精子が回収できます。

MD-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)

非閉塞性無精子症に適用します。手術用顕微鏡を用いて、精子が存在する可能性のある精細管組織を探して採取します。半数程度の症例で精巣精子が回収できるとされています。

TESE-ICSIの実際

一般にTESEで採取された精巣精子は凍結保存されて治療に用いますが、その取扱いには熟練を要します。当院には、10年以上にわたり、凍結保存精巣精子を扱ってきた経験豊富な培養士が在籍しており、この分野を得意としています。

TESE-ICSIの実際

精巣精子をペントキシフィリン含有溶液に移すと動き出す

精巣精子は本来運動性が極めて低く、さらに凍結保存によって一部の精子は死滅するため、生存精子のみを判別して回収することは容易ではありません。ペントキシフィリンは精子の運動性を誘起する作用があり、この作用を用いて、生存精巣精子を運動の出現によって識別し、効率よく回収できます。動画では、運動性を認めなかった精巣精子がペントキシフィリン含有溶液に移されると、しばらくしてピクピク動き出すのが確認できます。


当院独自のスクイーズ法

精巣内の精子は精細管という細い管の中に存在しています。一般的には、精巣内精子を回収する際、精細管をメスなどで細かく切開して、その中から精子を取り出します。当院ではこれに加えて、独自の「スクイーズ法」と呼ばれる方法を用いることがあります。注射針を慎重に屈曲させて精細管を圧迫しながら内容物を押し出すことで、精細管内に存在する精巣精子を含む内容物を、ほぼ全量回収することが可能です。