人工授精

人工授精のご案内

人工授精は採取した精液を培養液で洗浄濃縮した後に子宮内に注入する方法です(体内受精)。
精子の少ない方だけでなく、原因不明不妊のステップアップとしても広く行われています。
本邦で50年近い歴史があり、出生児へ与える影響やリスクはないとされています。
人工授精の妊娠率は低いため、何度かトライしてゆく必要があります。治療回数は年齢や卵巣機能、不妊原因などによって異なりますが、以下に目安をお示しします。

  • 人工授精の妊娠率(1回あたり)5〜8%
  • 年齢と治療回数(目安)
30歳未満 5〜10回
30〜34歳 5〜6回
35〜37歳 4〜6回
38〜39歳 3〜5回
40〜41歳 3〜4回
42歳〜 0〜2回

人工授精の流れ

予約

  1. 排卵の数日前に超音波検査を行い、排卵日を予想し人工授精の日程を決めます。
  2. 精液容器を受け取り、受付で予約を取ります。
    受付時間(精液を持参する時間)
    午前の部:8時30分から(最終12時00分)
    午後の部:16時30分から(最終19時00分)

当日

  1. 受付に持参した精液を提出し、申込書を記入します。
  2. 精液は検査後、運動性の良い精子を回収するために分離剤(アイソレイト)を用いて遠心分離を行いさらに濃縮します。
  3. 細く柔らかいチューブを用いて濃縮精子を子宮の奥に注入します。この処置は数十秒〜数分で終わります。
    強い痛みはありませんが少量の出血が出ることはあります。
  4. 終了後は必要に応じて排卵を促すhCG製剤の注射を打ちます。処方された抗生剤を服用します。
    安静は一切不要です。家事や入浴、仕事も支障ありません。
  5. 指定された日に自分で妊娠判定を行います。

採精に関する注意事項

  • 精液は自宅で採取して持参してください。それが難しい場合には院内採精も可能です。
  • 人工授精前の数日間は禁欲しておく方が良いでしょう。
  • 採取方法は自由ですがコンドームを使用して精液を回収することは避けて下さい。
  • 精液は専用容器に直接採取した後、しっかりとフタを閉めて下さい。
  • 採取後の精液は暖かい季節は常温で、寒い季節は暖かい部屋に置き、来院の際にはタオルでくるむか人肌で保温し“3時間以内”を目安として持参してください。
    なお保温のためにカイロは使用しないでください。また暑い季節は高温となる場所に放置しないでください。

人工授精の待ち時間(目安)

受付から60〜70分後
精液の処理に要する時間は精液の状態によっても変わるため、待ち時間はあくまでも目安です。
人工授精実施時刻までは外出していただいても結構ですが、その際は外出時と帰院時に受付に声をかけてください。
なお精液検査の結果が悪い場合には、キャンセルとなります。

リスク

まれに子宮内膜炎や骨盤腹膜炎を起こす可能性がありますので、実施後に処方される抗生物質を必ず服用してください。
人工授精後に発熱や強い腹痛が続く場合にはご連絡ください。抗生物質で薬疹やむかつき症状がでる場合があります。
また夫にクラミジア、淋病、梅毒、HIV、肝炎などの感染症がある場合、精液を介して妻に感染する可能性があります。
心配な場合には事前に検査を受けておくことをお勧めいたします。

料金

診察料 74点    
人工授精手技料 1,820点    
注射 151点    
抗生剤 77点    
  合計 2,122点 (21,220円)
自己負担金 (6,370円)

注意)別途、超音波検査料がかかります

人工授精のご案内

人工授精のご案内

自宅でできる人工授精

自宅でできる人工授精(シリンジ法、スポイト法)

何らかの理由で性交渉ができないご夫婦に対しては、シリンジ法をお勧めしています。

マスターベーションによって採取された精液を注射器(シリンジ)に入れて、

膣内に注入する方法で通常の性交渉と同じ効果が期待されます。
手技も簡単で費用も実費負担のみですのでお手軽です。

条件

  • マスターベーションによって精液が採取できること
  • 夫の精液所見が正常なこと
  • 妻が排卵していること
  • 妻の卵管が通っていること

手順

シリンジセット(アスカで販売しています)購入

精液採取用カップ/シリコンチューブ/注射器

3個 2000円(税別)

1. 精液の採取と液化

マスターベーションで容器に精液を採取します。
採取直後の精液は粘性が強いので、常温で15分ほど置いてサラサラにしてから使用します。

容器が小さいので、採取しにくいです。
当院で使用している専用容器(500円)を希望される方はお申し付けください。

2. 注射器のセット

注射器にチューブを接続します。

しっかり装着してください。
最初に空気だけを1〜2cc程度吸います。

3. 注入の準備

注射器で精液を吸い上げます。この時、注射器は垂直に立ててください。
ゆっくりと吸い上げて、泡立てないようにしてください。

4. シリンジセットの挿入

女性は仰向けになって寝て下さい。
男性はチューブの中央を持って膣内に挿入します。

注射器とチューブの接続部まで膣内に挿入してください。

途中で子宮下部に当たることがあります。

入らない場合には、上下左右に方向を変えてみてください。

5. 精液の注入

注射器を押して精液をゆっくりと注入します。
注入後はそのまま横になるか、就寝するのが理想的です。
※イラストでは実際より長いチューブを使用しています(当院で提供しているのは10センチ程の製品です)。
※注入した精液がほとんど出てしまう場合には、再度トライしてください。 精液量が多い(5cc以上)の場合には、あふれ出ることがありますが、この場合は問題ありません。

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