不妊の原因

一言に不妊の原因といっても、それは多岐にわたります。不妊治療は進歩していると思われがちですが、それは治療の話であり不妊検査については昔と比べて格段の進歩を遂げたとは言い難いのが現状です。

皆さんは“なぜ妊娠しないのか?原因が知りたい”という思いで来院されますが、実は不妊症の検査で調べることができるのは、不妊原因のほんの一部に過ぎません。文字通り“氷山の一角”なのです。従って、ご夫婦の7割には大きな異常が認められず、“正常”であると診断されますが、正しく言うと“原因不明不妊症”ということになります。

不妊症の原因を挙げると下記のように膨大となります。
個々については別項目で概説します。

卵子に関する異常 染色体異常、細胞質機能低下、異常卵(空胞、変性卵、形成不全卵)、透明帯硬化、活性化障害、孵化障害
排卵に関する異常 排卵障害、未熟肺卵、過熟排卵、非破裂黄体化卵胞、遺残卵胞、多嚢胞性卵巣、早発閉経
卵管に関する異常 卵管閉鎖、通過障害、輸送障害、ピックアップ障害、卵管周囲癒着、卵管水腫
子宮に関する異常 子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮奇形、頚管粘液減少、菲薄化内膜、着床障害
精子に関する異常 乏精子症、精子無力症、無精子症、膿精子症、奇形精子症、抗精子抗体、受精障害、染色体異常
ホルモン・内分泌の異常 黄体機能不全、高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、耐糖能異常
免疫異常 自己免疫異常、同種免疫異常、抗リン脂質抗体
感染症 クラミジア感染、淋菌感染
性交渉に関する異常 勃起障害、性交障害、射出障害、逆行性射精、ワギニスムス、性欲減退
婦人科腫瘍 子宮内膜症、子宮筋腫、子宮頚癌円錐切除術
その他 帝王切開術後瘢痕症候群

青字は検査することができる異常、赤字は調べることのできない、もしくは難しい異常。

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